財布をなくしたことに気付いた
1月11日 月曜日
いつもテーブルに置いていた財布がないことに気付く。
くまなく探した。
アウター、洗濯機の中に入れたズボンのポケット、ベッドや冷蔵庫の隙間、炊飯ジャーの中などなど。
そもそも持ち歩かない。
支払いは基本スマホ。
直近で使ったと記憶している場面は、金曜日に定食屋、土曜日に図書館(入館するための学生証が財布に入っているので)。
日曜日は確実に使っていないはず。
となると、図書館に行ったときに紛失した可能性が濃厚?
明日直接確認してみるけど、無かったらどうしよう。
クレカとか、キャッシュカードが手元にないのは痛い。
あとクレカ未払いで督促の電話が毎日来ている状況。
昔通ってたデリヘルの会員カードも入ってる。
映画館のタダ券とか、昔ソウルのカジノで作った会員カードとか…。
免許証と保険証もかなり痛いかも。
現金は、600円ぐらいしか入ってない。
1/12 追記
その後、冷蔵庫の裏やベッドの下、はては電子レンジの中から炊飯ジャーの中まで、自分では馬鹿らしいと思いながらも捜索活動を続けていた。
当然そのようなところにあるはずもなく、図書館にも確認が取れず、とうとう途方に暮れ交番に遺失届を提出した。
警官のおじいさんは周辺の警察署に全検索をかけてくれたが、財布は届けられていなかった。
自分と同姓同名の男が、同時期に財布を失くしている偶然を教えてくれたが、一つも笑える精神状態ではなかった。
したがって、一旦カードを止めることにし、あらゆるカードの再発行どうしよう…と先のことを考えていた。
思えば、2年前に別れた元カノにプレゼントされてから、いつまでも使い続けていた財布である。
彼女には何の思い入れも無いが、もうこれを機に新調しよう。
それより、カード未払いをこの財布紛失状態でどうやって切り抜けようか。
そんなことを考えていたら鬱になって、もう日が暮れていた。
そこへ着信が。
「わりい!お前の財布、俺のポケットにあったわ!」
何を隠そうこの電話の主は、先日、私の家で泥酔しながらマリオパーティーをしていた男である。
どうやら、私の財布と似ているからよく確認せず持って行ってしまったらしい。
「お前ふざけんな!図書館やら銀行会社にかけた電話代、交番に足を運んだ手間賃、精神的苦痛によって取り組めなかったウーバーイーツで本来稼いでいたはずの賃金、しめて1万円で保障しろよ。」
「いやふざけんな!すぐ返しに行くから」
こいつは、完全に私のことを舐めている。
冗談半分なようで、俺なりに怒りを示したつもりである。
私の味わった焦り、怒り、悔しさ、やるせなさ、そういうことには想像が及んでいないようだった。
だが、不用意にテーブルに財布を置いていた私も悪い。
いろんな人を家に招けば、こんなトラブルが起こることも想定できただろう。
もうカード類は別のカードケースに隔離して、金銭とは分ける。そう決めた。
友人、いや窃盗犯は、悪びれる様子もなく、ヘラヘラしながら私に財布を返しに来たのだった。
そのあと、LINE PAYで500円が送金されていた。
私の潰れた1日の時価総額はワンコイン。
酔っていたことを言い訳にしていたが、この無敵の言い訳はどうにかならないかな。
財布に入っていた現金は、550円だった。