死ぬまでに書きつけておきたい1つのブログ

平均寿命全うまで:あと58年

原因と過程 恋愛は結局きっかけ

「種まきはしておいたほうがいいよ。」

会社のH先輩はアイコスをふかしながら、私にアドバイスを送った。左薬指のリングと、眼鏡の奥の鋭い眼光が、ステージの違いを醸しだしている。何かを背負っている男は、纏っている雰囲気からして違うものだ。なんでも、H先輩は再婚らしい。年齢は30代前半。常に冷静沈着なポーカーフェイス。痩せていて、清潔感のあるラフな格好をしている。昼は毎日キムチ豚丼を偏食している。

これはある昼下がり、彼女に振られて間もない私が人生相談したときの一幕だ。もちろん人生相談といっても、喫煙所で特に話すこともない上司と間を持たせようと、何となしに打ち明けた身の上話にすぎなかった。だがこの言葉が思いもよらず、今の私の行動の指針になっているとは。

さてコロナウイルスが蔓延している昨今、私のような特に何の取り柄もない27歳が異性と出会うきっかけとは何なのだろうか。

まず職場が考えられる。私は自分のやってみたい仕事の関係上、職場恋愛がお互いにとっても最も都合がよいと考えている。何故なら、一般的には理解を得ることが難しい職種を希望しているからである。だが多分これを実現するにはもう少しキャリアを積んで、仕事ができるように上り詰めないと話にならないだろう。女性の上司とそういう関係になるのは想像しづらいから、同期か後輩。というか、私の同期なんてみんな年下に決まっているのだから、後輩しかいないのだけど。

次に友人の紹介である。女性とつながりの多い男友達は何人かいて、そこで繋がりが出来たり、合コンをしようじゃないかという誘いも何度かあった。だが私はいまいち紹介というものにピンとこない。要するに、友達のメンツを優先しなくてはならないから、なかなか本来の自分で勝負できないのである。すると、そういう感じには一切発展しなくなる。

最後に、インターネット。アプリとせずにあえて広く表現したのは、理由がある。アプリでの出会いは簡単だけど正直大変。普通の出会いだったら、まずは仲のいい友人だったり同僚として関わって、そこから段階を経て好きという感情が育まれるものだ。アプリで出会うと、この段階をすっ飛ばして「好きになろう」としないといけなくなる。もちろん、何度デートを重ねたっていい。すぐに裸を見せ合って、付き合ってしまえばいい。だけど、2人を支えている基盤が「アプリ」だと、ぐらついたときにはもう手遅れなのである。「どうせアプリだしこんなものか」「またアプリすればいいや」という感情が芽生え、なかなか実らない。だから、自分自身を騙すのが上手い人、自己暗示をかけやすい人はアプリが向いてる。私もデリヘル嬢を呼ぶときは全力で恋するし。そういうもんだろう?

だが出会いがアプリではなく、ゲームだった場合どうだろう?いきなり恋人候補を探すのではなく、まずは純粋に友達として遊ぶことで、段階を踏んだ関係の構築を疑似的に行える。そしてゲームの話から脱線して、お互いの身の上話をする。相手が魅力的に感じたら、通話なんかに誘ってみればよい。声や笑いのツボなどを確認していくうちに、お互いが異性として意識し合う瞬間がたまに訪れる。まだ会ってもいないのに、話し声だけしかわからない相手のことをもっともっと知りたくなる。

『アバウト・タイム』で主人公と彼女の出会ったきっかけが暗闇レストランだった。お互いの顔が分からない状態で声だけで会話するのである。ひとしきり話が盛り上がったら、店の外で早く顔を見てみたいと思うのは必至。そういう期待補正もあって、主人公は一目惚れしていくのである。(ただしその逆の反動による失望の大きさもまたしかり。)

 

…実は、種まきの一環としてゲームでそういうことをしていたら最終的に一目惚れして、向こうもそんな気持ちだったみたいで、彼女ができてしまったという、ただそれだけの話。

だがゲームきっかけで出会うことによる思いもよらぬ弊害やストレスも、あとで元気なときに書こうと思う。